朝霞市都市計画地区計画の変更無効の通知書
私は、下記のとおりの通知書を送った。
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朝霞市都市計画地区計画の変更無効の通知書
埼玉県知事 御中
埼玉県都市計画審議会会長 御中
朝霞市長 御中
朝霞市都市計画審議会会長 御中
財務省関東財務局局長 御中
平成21年2月23日
埼玉県朝霞市仲町2-2-38-805
電話048(465)0125
FAX 048(465)3364
小 山 香
当職は、朝霞市議会議員であり、また、朝霞市都市計画審議会委員である。朝霞市都市計画審議会が平成21年2月9日に議決した議案第1号朝霞市都市計画地区計画の変更(朝霞市決定)は、都市計画法及び地方自治法上に各瑕疵があり、次のとおり無効である旨、通知する。
記
第1 埼玉県都市計画マスタープランの抵触並びに朝霞市総合振興計画及び朝霞市都市計画マスタープランに根拠なし
1 朝霞市都市計画審議会が平成21年2月9日に議決した議案第1号朝霞市都市計画地区計画の変更(朝霞市決定)(以下「本件地区計画変更」という。)は、平成16年4月27日決定告示の埼玉県の朝霞都市計画(朝霞市)都市計画区域の整備、開発及び保全の方針、
いわゆる埼玉県都市計画マスタープラン(都市計画法15条①ⅰ、以下本件「県マスタープラン」という。)
及び区域区分に関する都市計画(都市計画法15条①ⅱ)に抵触する。
2 キャンプ朝霞基地跡地(以下「本件基地跡地」という。)は、これまで用途未指定の市街化調整区域であるところ、県マスタープランには、本件基地跡地について都市計画法6条の2第2項2号が定める区域区分の決定の有無及び当該区域区分を定める方針についての記載がない。
したがって、本件基地跡地を開発又は建築可能な区域とするためには、県マスタープランを変更し、上記基地跡地の位置づけを明示しなければならないのである。
よって、本件基地跡地について本件地区計画変更の議決が有効となるためには、これに先立ち、県マスタープランの変更、市街化区域編入の手続きがなされなければならないところ、この手続きがなされていないのである。
3 さらに本件地区計画変更は、朝霞市議会の議決を経て定められた朝霞市の建設に関する基本構想(以下「本件朝霞市基本構想」という。)を兼ねる平成18年3月付第4次朝霞市総合振興計画(以下「本件朝霞市総合振興計画」という。)に即していなければならず(都市計画法15条③)、
さらに本件朝霞市基本構想に即して策定すべきものである平成17年3月付朝霞市都市計画マスタープラン(以下「本件朝霞市マスタープラン」という。)にも即していなければならないのである(都市計画法18条の2①、④)。
しかしながら、本件地区計画変更の内容である本件基地跡地に地区計画を定める根拠は、本件朝霞市基本構想及び本件朝霞市マスタープランのいずれにも存在していないのである。
4 以上のとおり、本件地区計画変更の議決は、県マスタープランに矛盾抵触するばかりでなく、本件朝霞市基本構想及び朝霞市マスタープランにも根拠がないものである。
したがって、本件地区計画変更の議決は、上位計画優先の原則(都市計画法15条④)及び都市計画の基本方針(都市計画法18条の2④)に反し、無効である。
第2 地方自治法96条1項14号、15号違反
1 本件地区計画変更の議決は、朝霞市が平成20年5月付朝霞市基地跡地利用計画書(以下「本件利用計画書」という。)に基づいて、本件基地跡地に地区計画の変更を策定し、議決されたものである。
ところで、地方自治法96条1項14号は、「公共的団体等の活動の総合調整に関すること」につき議会の議決を必要としている。
本件利用計画書は、まず約3.0ha(なお、本件地区計画変更の内容では約3.2ha)の敷地上に高さ制限無制限の国家公務員宿舎(現在の説明では地上約80メートル、850戸の26階、25階超高層ツインタワー)、
つぎに約2.0ha(同じく約3.0ha)の敷地に従前の国の①朝霞税務署及び②ハローワーク並びに県の③朝霞県税事務所、④保健所及び⑤警察署、朝霞市の⑥中央公民館・コミュニティセンター、⑦図書館、⑧市役所、⑨市民会館、⑩保健センター及び⑪武道館の合計11の公共施設を集約する複合公共施設、つぎに1.3ha(同じく約2.1ha)の敷地に業務系施設、
つぎに幅員50メートル(その内歩道30メートル)のシンボルロード、つぎに合計約11.3ha(同じく約11.3ha)公園を、それぞれ建設(以下「本件跡地利用施設等」という。)するというものである。
国家公務員宿舎の発注者である国及び複合公共施設における国、県及び市は、公共的団体等の典型であり、
850戸の国家公務員宿舎の新築建設、前述した従前の国の2施設、県の3施設及び朝霞市の6施設の合計11公共施設を本件利用計画書に基づいて複合公共施設へ集約するのは、まさしく公共的団体等の活動の総合調整に関するものである。
よって、本件利用計画書は、地方自治法1項14号の議決を要するのである。
2 地方自治法2条4項に基づく本件朝霞市総合振興計画は、前述したように本件朝霞市基本構想を兼ねるものであるが、地方自治法96条1項15号により、議会の権限に基づくものであるところ、
本件朝霞市総合振興計画には、本件跡地利用施設等に関する事項及び本件基地跡地に地区計画を定める旨の各記載は一切ない。
本件利用計画書は、朝霞市議会の議決した本件朝霞市総合振興計画の範囲を超えるものである。
3 以上のとおり、本件利用計画書は、地方自治法96条1項14号及び15号により朝霞市議会の議決が必要であるところ、未だ議会の議決がない。
よって、本件利用計画書は議会の議決を欠いており、朝霞市の利用計画書として認められないものである。
したがって、本件利用計画書に基づき策定された本件地区計画は無効であり、朝霞市都市計画審議会の議決は、無効な本件地区計画の変更についてなされたものであり、無効な議決である。
第3 結語
本件地区計画変更の議決は、都市計画法及び地方自治法上に各瑕疵があり、無効である。
関係各位は、無効な本件地区計画変更の議決の扱いについて、慎重な態度をとられたい。
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地方自治体には内閣法制局に相当するものがない。上記のような明確な法準則違反がまかり通ってしまう。しかしながら、法令の存在がわからなくても物事の道理はわかる筈だ。
朝霞100年の計であるまちづくりだ。当然に県のマスタープランにも市のマスタープランに
即すべきである。
市町村議会には建設基本構想権がある。この基本構想権によりまちづくりの最低限度の民主的統制が保障されているのである。
建設基本構想権をないがしろにする都市計画など、考えられない。
さらに国の2つの役所、県の3つの役所、市の6つの役所の各施設を統合する複合施設が「公共的団体等の活動の総合調整に関すること」であるこは明白である。
さらに第4次朝霞総合振興計画に都市計画の手法が触れられず、またこれに匹敵する様な計画は、第4次朝霞総合振興計画を修正・変更するものであり、当然に議会に掛ける事案であることはわかるははずだ。
議会に掛けられて、議会は、総務常任委員会、建設常任委員会、教育環境委員会そして民生常任委員会は、各委員会の所轄の立場で質疑することになるはずだ。
繰り返すが朝霞100年に計である。後世に憂いを残さないためにも各委員会の徹底した
審理があるべきだ。
議会の関与がなく、後世にも相当額の税の負担を強いる計画に瑕疵があることは明白ではないか。