• 最新記事

  • 「人権の風」新聞

    PDFで表示されます。

    第2号
    「子ども置き去り 35人学級ができない」他
    (2021/1)

    第1号
    「癒着・忖度を生む市長の5選 いいのか?朝霞市のため 刷新しよう」他
    (2021/1)

  • 記事一覧

    プロフィール
    小山の法律家・市民としての活動経歴をお知らせします
    まちづくり構想
    すべての人を置き去りにしない、しあわせ中心社会のまちに生きる
    日々思うこと
    小山が日々の生活・仕事の中で感じたことを自由につづっています。下記カテゴリー別にお読みください。
    憲法
    貧困と人権
    教育
    平和と共生
    議員活動
    その他
    メディア掲載情報
    新聞、雑誌等の記事に掲載された活動を紹介します
    法教育
    法教育についてのページ一覧です
    議会発言録
    朝霞市議会・担当委員会での小山の発言の一覧です
    ご連絡先
    小山へのご意見、お問い合わせ等の宛先です
  • カレンダー

    2013年9月
     1
    2345678
    9101112131415
    16171819202122
    23242526272829
    30  
  • アーカイブ

詭弁?との戦いー教育委員会の意見聴取なき朝霞市部室設置条例

朝霞市は、9月議会で朝霞市部室設置条例(以下「本条例」という)を提案した。

この条例は、これまで教育委員会の担当であった青少年育成事業の総合調整、青少年の健全育成、青少年問題協議会、青少年関係団体の活動の支援の業務を市長部局のこども未来課(現こども福祉課)に移管するというものである。

地方教育行政法の29条は、地方公共団体の長は、特に教育に関する事務について定める議会の議決を経るべき事件の議案を作成する場合においては、教育委員会の意見をきかなければならないと規定している。

従前の教育委員会の事務が市長部局に移管するものであるが、念のために教育委員会に前日問い合わせたら、移管の教育委員会の会議がないとのことであった。

そこで、ここでも法令の違反が明らかになった。

私は9月5日の本条例に対する総括質疑の際、「教育委員会の意見聴取をしているか」と質問した。

執行部は、
「部室条例は、単に部と室いうものを設置するだけであるので、教育委員会の事前の意見聴取は必要ない」
と答えた。

結局、総括質疑では質問回数が3回と決められていることもあり、私が違法であることを指摘しても、執行部は逃げ?きった。

そのような状況で、9月9日に本条例の審査担当委員会である総務委員会が開かれた。

私は当委員会の委員の一人であり、当委員会では質問の回数に制限はない。

以下委員会での質疑の様子である。

ちなみに、本件条例については政策企画室が担当しており、提案責任者は審議官(市ではナンパー3らしい)、実務担当の責任者は室長(課長に相当する)、実務は主幹ということになっているようだ。

・・・・・・

〈小山〉本件条例第2条(4)エの児童福祉に関すること、とはどんな事務分掌を予定されていますか。

-(主幹)福祉課、障害福祉課、こども未来課、保育課を予定している。

〈小山〉児童福祉に関する課の名称をこども未来課とするのですか。

-(主幹)そうです。

〈小山〉こども未来課の下にどんな係があるのですか。

-(主幹)こども未来係、こども相談係、こども給付係です。

〈小山〉こども未来係の事務分掌はどんなものですか。

-(主幹)次世代育成支援行動計画、青少年育成事業の総合調整、青少年の健全育成、青少年問題協議会、青少年関係団体の活動の支援、児童館、課の庶務です。

〈小山〉こども未来係の事務分掌の青少年育成事業の総合調整、青少年の健全育成、青少年問題協議会、青少年関係団体の活動の支援について、いつ教育委員会に意見聴取をするのですか。

-(審議官)今後、教育長を通じて、教育委員会に朝霞市の全体像を説明する機会を持ちたい。

〈小山〉朝霞市事務分掌規則はいつごろ作る予定ですか。

-(主幹)本条例制定後の10月もしくは11月に規則を制定したい。

〈小山〉朝霞市事務分掌規則は議会の承認を必要とするものですか。

-(室長)必要としません。

〈小山〉なぜ、規則は議会の承認を必要としないのですか。

-(室長)規則については、議会の必要はない。

〈小山〉規則の根拠はなんですか。

-(室長)朝霞市の事務分掌規則を制定する根拠は、この条例によります。

〈小山〉この条例には事務分掌がない。(事務分掌は)規則で定める。(事務分掌は)議会の承認を求めない。脱法ではありませんか。朝霞市教育委員会事務局組織規則の事務分掌第3条別表の青少年育成係の2号に青少年育成事業総合調整に関すること。3号に青少年の健全育成に関すること。4号に青少年問題協議会に関すること。5号に青少年関係団体の活動の支援に関すること。この同一の事務分掌を市長部局に設けるが、議会に掛けない。こんなことが許されるのですか。

-(審議官)条例を議会が承認すれば、条例の第3条により、事務分掌規則を定めます。

〈小山〉本件条例の承認は、教育委員会の青少年に関する事務分掌までも朝霞市事務分掌規則で作ることを承認するものである。前もって教育委員会の意見聴取をすべきではありませんか。本条例を撤回して教育委員会の意見聴取をすべきではありませんか。

-(審議官)朝霞市事務分掌の内容はあくまで庁議での案である。市長部局はこの案に基づき、事務分掌規則が定められ、教育委員会もこの案に基づき教育委員会で事務分掌規則が定められる。

〈小山〉地方教育行政法(地方教育行政の組織及び運営に関する法律)の29条は、地方公共団体の長は、特に教育に関する事務について定める議会の議決を経るべき事件の議案を作成する場合においては、教育委員会の意見をきかなければならないと規定している。

-(審議官)朝霞市部室設置条例は、市の部と室の組織に限られたものになっている。その下の課及び係については、この条例の対象になっていない。市の方はこの条例に基づいて、教育委員会の事務局組織については、地方教育行政法の教育委員会の規則で改正して行くことになる。今後、教育委員会に対し、市全体の組織について説明をする機会を持ちたい。

〈小山〉この条例は、(青少年育成事業の総合調整、青少年の健全育成、青少年問題協議会、青少年関係団体の活動の支援という)委任事項を含んでいる。議決をすると市長部局は、規則により、未来課を造って、青少年事項を事務分掌とする。だから、前もって教育委員会に意見を聴取して欲しい。

-(審議官)議会の承認が得られれば、規則を制定します。

〈小山〉承認をするということは、教育委員会の意見も聞かずに市長部局が教育委員会と競合する事務分掌を造ることを承認することになる。地方教育行政法「地方教育行政法は、市長部局は、教育委員会を尊重しなさいとしている。政治的中立だとか配慮している。勝手に市長部局は教育委員会に関することについて作れない。

(この質問に対し、また同じ答弁を繰り返される。)

・・・・・・・・

小山コメント、ここまで来ると詭弁?との戦いと思うのは、私だけであろうか。

途中で議長が介入し、また委員長も進政会の議員も多数決で決めればいいというようなことをいう。

上記のとおり法律の条文を追って違法行為であると明らかにしたのに、多数決で法律の記載も字句も無視をするとは、言葉がない。

その後、政策企画室は埼玉県の市町村課の行政担当に質問した。

その回答は
「この条例が教育委員会の事務分掌を含んでいなければ、事前の教育委員会の意見聴取を必要としないが、含んでいるならば、意見聴取が必要である」
とのことであった。

私が主張しているとおりの回答である。本条例3条の委任条項により、教育委員会のこれまでの事務分掌を市長部局に移管する規則を作るのである。したかって、教育委員会の意見聴取の必要性が明らかになった。

議長がこれまでの経過を踏まえ、本条例の撤回ではなく、継続にして12月議会までに、教育委員会の意見聴取を行なうことを提案し、全委員及び政策企画室も納得した。

・・・・・

上記に引用したとおり

〈小山〉規則の根拠はなんですか。

-(室長)朝霞市の事務分掌規則を制定する根拠は、この条例によります。

と政策企画室の室長は、条例に基づき規則で教育委員会の青少年に関する事項を移管することを自白している。

にもかかわらず、政策企画室は違法を認めなかった。

 

法律のある本にこんな例が上がっていた。

ある者が牛を盗んだ。ある者は裁判で牛の窃盗を否認した。その弁解はこうだ。

(ある者)私は牛を盗んでいません。縄を取っただけです。

(裁判長)縄の先に何があるのか。

(ある者)牛が繋がっています。

・・・・・

牛が青少年に関する事項だろうか。縄が朝霞市部室設置条例だろうか。

(政策企画)審議の対象は縄、すなわち朝霞市部室設置条例です。したがって、牛、すなわち青少年に関する事項は関係ありません。

(小山)縄の先に何がありますか。すなわち朝霞市部室設置条例でどんな規則を作るのですか。

(政策企画)朝霞市事務分掌規則で教育委員会がやっている青少年に関する事項を作ります。

・・・・・

政策企画は、上記の牛泥棒の話は理解できるだろう。しかし、我が身になると、理解できなくなってしまうのであろうか。

議長、委員長、進政会の委員は、上記の問題を多数決で決しようとしていた。

私と政策企画室の質疑を見聞して、政策企画の詭弁を見破ることができなかったのだろうか。

当日の傍聴者は、小山の主張が正しいといっていた。

多数決でも違法性は治癒しない。これだけ私が違法性を主張しても、尚且つ多数決で議決した場合、賛成した議員に違法性が生じると思っている。

いずれにしても、本来政策企画室は、議案を撤回して、12月議会に再提出するところ、議長の提案で事前の策として、継続審理となった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・