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墓地と生活環境との調和等ー公共の福祉との調整

墓地ブログ用

内間木苑の正面の墓地造成予定地

朝霞市の墓地行政の問題点を墓地埋葬法から考える。

墓地経営の許可をするか否かは、現在では,朝霞市長が判断する(墓地埋葬法10条1項)。市長が判断するとはいっても、墓地埋葬法に反する判断をすることはできない。

墓地埋葬法1条は、「墓地経営の許可は『公衆衛生』及び『その他公共の福祉』に支障がないように行われる必要がある」と規定している。これにより、墓地周辺の住民の生活環境との調和を保護している。

市長は、墓地経営の許可について「公衆衛生」と「その他公共の福祉」という二つの条件を満たすか否かを判断しなければならない。 まず、「公衆衛生」とは、環境衛生、感染症予防などの地域住民の健康の保持・向上のための活動をいう。市長は、墓地の設置による遺体の悪臭の発生や伝染病の危険の有無を判断する必要がある。しかし、近年の100%に近い火葬による遺体の「焼骨化」は公衆衛生の問題を解決している。 したがって、現在、「公衆衛生」の点に大きな問題はない。 次に、「『その他公共の福祉』とは、墓地利用者の利益の保護、広域的な需給バランスの確保、周辺の生活環境との調和等の衛生面以外での公共の利益との調整を図ることをいう」(厚生省生活衛生局長通達平12・12・6)。

墓地は一般に付近に設置されることが歓迎されない施設(福岡高裁平成20年5月27日は「嫌忌施設」と判示)であり、公共の利益との調整が必要となる。これが、墓地埋葬法の要求する二つの条件である。 朝霞市では、これを受けて、100m条例を制定した。

ただし、市長が「公衆衛生」及び「その他公共の福祉」に問題がないと判断したときは、墓地埋葬法に反しないとし、100mの距離制限を緩和できるとした。 現在、この100m条例の意義は、墓地と地域住民の公共の利益との調整にある。

ところが、問題は、朝霞市が「事務処理要領」を定め、遺体を「焼骨」にすれば「公衆衛生」のみならず「その他公共の福祉」までも問題がないとすると断定してしまったことにある。

遺体を「焼骨」にすることにより「公衆衛生」の条件は満たしても「その他公共の福祉」という条件は満たされないことは、上記の「その他公共の福祉」という言葉の意味から明らかである。

朝霞市は、法令の調査不足、知識不足によりこの明らかな誤りに気付かないまま、「焼骨」の場合は、(今日すべてが「焼骨」である)墓地経営の許可について公共の利益との調整が不要であるという事務処理要領を制定してしまった。

ところで、市長は、墓地条例は「許可条例」だから要件が揃えば、許可をしなければならないといっている。

これは誤りである。

前述の通り、墓地埋葬法は、市長に対し法の目的に照らした広範な裁量を与え、正当かつ合理的な理由があれば許可をしないことができるとしている(墓地埋葬法10条1項)。 墓地計画の面前の内間木苑は、特別擁護老人ホームのみならず包括支援センターも入っている公共的施設でもある。3件の住宅、さらには地元の反対が多いことなどを総合的に斟酌することは、正当かつ合理的な理由であり、許可をしない理由になる。 内間木地区では、法律で保護されるべき墓地周辺の住民の生活環境が不当に侵害されようとしている。墓地埋葬法から考えても、朝霞市の墓地行政の違法性は高い。