良識ーラルフネイダーの大統領選の当否
アメリカの大統領選挙が動きだした。アメリカ大統領は、世界的な関心事である。
2000年の大統領選挙を思い出した。
(ラルフネイダー氏)
少し前の法律家ならラルフネイダーの名前を知らないものはいない。
私たち弁護士の憧れだった。
アメリカの弁護士であり、環境問題、消費者問題を行なっている社会運動家でもある。自動車業界に対する消費者運動で有名になった。
文字通り、一人の力で社会を変えたと思える弁護士だった。
平成元年に島根県松江市の日弁連の人権大会に招かれた。私もラルフネイダー消費者問題の講演を聞いた。
弁護士は、巨大企業とも渡り合えると「すごいものだ」と思い知らされた。
しかし、その評価は2000年の大統領選挙のラルフネイダーの行動によって一遍した。
私には、差し引きマイナスになったと行ってもよい。
2000年民主党候補者の ゴアと ,共和党候補のブッシュの実質上一騎打ちであった 。
その結果 、ゴアの得票率は 48.4% であり 、 ブッシュの得票率は 47.9% であった。
にもかかわらず、 ブッシュが当選したのである .
得票率が低いにもかわらず、 ブッシュが勝利した最大の原因とて 、 アメ リカ大統領選で採用されている 「選挙挙人制度」が原因である。
各州の最高得票者がその州の全部の選挙人を獲得する。
このときカギを握ってい たのは 25 の選挙人票をもつフロリダ州であった 。
フロリダ州での得票数は 、以 下の通りである .
ブッシュ 291万2790
ゴア 291万2253
ネ-ダー 9万7488
その結果、選挙人からの票数としては ,ブッシュが 271 票,ゴアが 266 票を得ていた。 僅差の5票でブッシュが 勝利した。
この僅か 537 票の差で 、ブッシュは大統領となった 。
ネー ダは 民主党のゴアより もリベラ派である。しかし、ネーダは当選する可能性ゼロの泡沫候補である。
ラルフ・ネーダーが候補者として降りていたら、ゴアが大統領となっていて、歴史の歯車は、違った方に向かった。
イラク戦争は起きなかっただろう。
もっと、世界は平和を志向していた。
ラルフ・ネーダーは、2000年後の歴史についてどのように思っているのだろうか。
ラルフ・ネーダーの2000年の行動から、私たちは何を学ぶべきか。
民主主義を実現するために選挙制度がある。
選挙制度には、欠陥がある。
その欠陥の上で、民主主義が動いているならば、
良識で埋めることが期待される。