新聞記事 「朝霞市 議員に討論原稿提供」
8月17日、28日に埼玉新聞、朝日新聞に執行部の議員に対するの討論原稿の問題が取り上げられた。以下に紹介したい。
なお、紙の原稿のままなので、読みにくいかと思います。
埼玉新聞及び朝日新聞の電子版を入手しました。この方読みやすいと思います。
[埼玉新聞]
2018年8月17日(金)
朝霞市議会、討論原稿を市が作成 市議、そのまま使用「先輩がやったこと引継」 市「 議員マターの話」
(朝霞市役所)
朝霞市の2018年3月議会で、上程された新年度予算案など執行部議案の審議を巡り、賛成の立場で討論した保守系会派の市議会議員らが執行部から提供された原稿形式の資料をほぼそのまま使用していたことが16日分かった。
無所属会派の市議が公文書の情報公開請求で、職員が作った資料を入手したところ、内容は議会議事録に掲載されている議員の発言とほぼ一致していた。市側は資料提供を認め、発言した議員らは「あうんの呼吸でやっている」などと説明している。
議員や市民らからは「2元代表制を欺く行為」「議員としての倫理観がない」と批判の声が上がっている。
公文書を情報公開請求したのは朝霞市の小山香市議。小山市議によると、3月議会の18年度一般会計予算案の賛成討論に関する公文書を請求したところ、市教育総務課と財政課が作成した公文書と保守系会派の市議が教育環境常任委員会と本会議で、執行部提案に賛成の立場で発言した討論内容がほぼ一致していた。
また、同様に請求した17年12月議会で審議された議員提出議案の「生活保護の生活扶助の水準を維持することを求める意見書」と、請願の「国民健康保険税の値上げをしないで下さい」に関する討論の公文書も、市議2人が議会で反対の立場でそれぞれ発言した討論内容とほぼ同じだった。
資料提供を受けて発言した市議の一人は「先輩議員がやっていたことを引き継いでおり、どちらが要望するというのではなく“あうんの呼吸”です。自分で作るのは訳がないが、執行部が出してくるものは適切であり、それを尊重しながらやっている」と理由を説明している。
討論原稿を作成した市側は「資料は個々の議員の求めに応じて個々の部署で作成しており、それを一部使用するか、全く別の原稿を使うかは議員マターの話。ただ、今後は誤解を招かないように資料を箇条書きにするなど提供方法を検討する余地はある」(総務部)としている。
こうした執行部と議員の関係について、小山市議は「執行部提案だけでなく、議員提出議案や請願まで執行部の原稿を使用していることに驚いた。これでは保守系議員と執行部はなれ合いの関係。議員は神聖な議会を欺き、職員は公務員の仕事を逸脱している」と憤っている。
市民運動に取り組んでいる市内の男性(69)は「質問や討論のための資料提供はあり得ても、討論原稿はあり得ない。議員としての倫理観がなく、恥ずかしい。市民は市の代弁者として議員を選んでいるわけではなく、議員は自分の考えで議論すべきだ」と不快感をあらわにしている。
[朝日新聞]
埼玉)市提供原稿で「討論」 朝霞市議会の一部議員
2018年8月28日03時00
埼玉県朝霞市議会で、一部の議員が市の議案への賛成討論などをする際、市側が原稿形式の資料を提供していたことがわかった。市の施策をチェックすべき議員が、市が作った原稿に沿って意見表明していた形だ。
富岡勝則市長は27日の会見で提供を認め「好ましいとは考えていない。今のような形はやめる」と表明した。
6月議会で小山香市議(無所属の会)が、3月議会での市の予算案に対する賛成討論などで、一部議員が市作成の原稿形式の資料を読んでいた疑いがあると指摘。
その後、情報公開請求で調べると、市財政課などが作った文書と一部議員の討論の内容がほぼ一致したという。
小山市議は「議会と執行部の間に緊張感もなく、二元代表制の趣旨から問題」と指摘していた。
一致を指摘された一人の石原茂議員(輝政会)は「先輩議員から引き継いで暗黙のうちにやっていた。要望はしていない。『あうんの呼吸』」と説明。市幹部は「議案を通すことを最優先に考えて慣例化していたようだ」と話した。
富岡市長は「今後は資料の要求があれば、議案のポイントや趣旨など、判断材料としての資料提供を考えたい」と話した。(斯波祥)