埼玉県朝霞市議会で、一部の議員が市の議案への賛成討論などをする際、市側が原稿形式の資料を提供していたことがわかった。市の施策をチェックすべき議員が、市が作った原稿に沿って意見表明していた形だ。

富岡勝則市長は27日の会見で提供を認め「好ましいとは考えていない。今のような形はやめる」と表明した。

6月議会で小山香市議(無所属の会)が、3月議会での市の予算案に対する賛成討論などで、一部議員が市作成の原稿形式の資料を読んでいた疑いがあると指摘。

その後、情報公開請求で調べると、市財政課などが作った文書と一部議員の討論の内容がほぼ一致したという。

小山市議は「議会と執行部の間に緊張感もなく、二元代表制の趣旨から問題」と指摘していた。

一致を指摘された一人の石原茂議員(輝政会)は「先輩議員から引き継いで暗黙のうちにやっていた。要望はしていない。『あうんの呼吸』」と説明。市幹部は「議案を通すことを最優先に考えて慣例化していたようだ」と話した。

富岡市長は「今後は資料の要求があれば、議案のポイントや趣旨など、判断材料としての資料提供を考えたい」と話した。(斯波祥)