海峡を渡るバイオリン-陳昌絃さん亡くなる
5月15日事務所で法律相談をしていたら,
夕刊で,陳昌絃さんの訃報の記事があったと
電話があった。
言葉に表せない思いを抑えて,
私は,平然と相談を続けた。
今から10年前,裁判所から帰る途中
ラジオの朗読の時間だった。
丁度「海峡を渡るバイオリン」のコンクールの
場面だった。
6部門中5部門での金賞の場面だった。
運転をしながら,私は感動のもらい泣きをし
運転に差し支えるほどだった。
このとき,陳氏の半世紀にわたる
あるいは,少年期にバイオリンと
出会ったときの夢が実現した。
私は早速,本を購入した。
大学で英文学を学んだだけの陳氏は,
学校の教師を志したが
国籍条項でできなくなった。
絶望の淵にあったとき,学内の講演会で
ストラディヴァリウスの音の不思議に出会う。
そこから,独学でバイオリン製作者への夢が始まる。
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縁があって,陳さんにお会いすることがあった。
書棚から本を持参して,署名をお願いした。
文字通り,愚直にストラディヴァリウスの音
を求められた。
バイオリンの製作を,独学で
世界的レベルまで達することは,不可能に近いことだ。
このバイオリン製作の秘伝は,息子さんに受け継がれているようだ。
差別を乗り越え,
祖国を愛し,
家族を慈しみ
ストラディヴァリウスが,時空を経て,400年後の現代に
すばらしい音を奏でるように
今後,何百年も陳さんのバイオリンは,
人々の心に感動を与えるだろう。
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