夜間中学
Posted on 2021年11月23日 by 小山 香
夜間中学
少年事件の審判が終わった。ずいぶん少年と対話した。
「あなたには、自由がある。非行に走る自由も、幸せになる自由もある。あなたは、どの自由を選びますか。」
少年は、中学になって、急に勉強が難しくなり、その他の家庭の事情も重なり不登校になった。
やっと入った定時制高校に進学してもまったく授業について行くことができず、1学期で中退したという。
鑑別所の心理テストでは、知能は平均以上の優れているものだった。私は、しきりに高校の進学をすすめた。しかし、余程勉強は苦手なのか、
「通学は困難です。通信教育に行きます。」
こんな対話だった。
審判を迎える前に少年に大事なことを伝えるのを忘れていた。
(念のために、休日面会の予約をしていた。)
週末で、人気のないひっそりとした環境で最後の対話をした。
作文を書いて貰った。被害者のこと、家族のこと、仕事のこと、将来のことなど
間違った漢字は辞書ももっていたので訂正させた。
改めて少年に話した。
「君の世界はこんな小さな円だ。
その円の外に、埼玉、関東、日本がある。世界には200あまりの国がある。不良仲間から脱却してもっともっと大きな世界をみて欲しい。」
最後に夜間中学のことを話した。
「中学で不登校になった人も、夜間中学でもう一度勉強をしたいと学んでいる」と説明した。
少年は、いつものとおり、うなづいていた。
私は少年と面会の都度、父親には連絡をしていた。
夜間中学のことも話した。興味を示してくれた。
審判で裁判官が父親に今後のことについて質問した。
父親は、「仕事をどうするとかの問題以前に妻と相談したことだが、夜間中学に行かせ、そのあと高校に行かせたい」と答えていた。
少年は審判後、父親のもとに戻った。少年と父親に挨拶をして別れた。
事務所に戻り、夜間中学の資料を送った。
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