私の失敗?
A君の判決を聞くために、法廷に入った。
先に入っていたA君がちらりと私をみた。
A君はバツがわるそうに、みない素振りをした。
Aの死角になる傍聴席の一番後ろに着席した。
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主文 懲役1年8月
裁判長は判決の最後に「刑務所から出てきたら働いて
まじめに生活をして下さい。」といった。
2年前に同じく窃盗で懲役2年執行猶予4年保護観察中だった。
あわせて、3年8月の懲役刑となる。
わずか8万円の窃盗である。
A君が法廷から出ていくまで、傍聴席に座っていた。
(私に挨拶をするだろうか。多少の期待を抱きながら・・・)
結局、私の方に顔を向けることもなく出ていった。
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2年前、A君はホームレスの状態であった。
私も市の担当者もA君の更生を願って、
住居を手当てした。
住居を借りたくても、A君には、保証人がいなかった。
やむをえず、私が保証人になった。
保護費を使い込み、
家賃の支払が滞り、賃貸借契約の解除となった。
私が事務員に手伝って貰って原状回復をした。
部屋は言語に絶する悲惨な状態だった。
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恩師、友人、そして私達の善意をないがしろにした。
A君の卒業高校は、トップレベルの学校だ。
優秀な能力があるのであるから、正直さと努力が備わっていたら
窃盗などしなくても生活ができたはずである。
保護を受けながら、ギャンブルに金を使い金がなくなり、窃盗をする。
不愉快なことだ。
私の失敗だ。
4年前、北九州でおにぎりが食べたいといって
餓死した人がいたことを思い出した。
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