ある接見室での対話
さいたま拘置支所にいって、被告人と面会をしてきた。
数えられないくらいの前科がある被告人。
大半は、万引きである。
前回刑務所から出て、また万引きをやって警察につかまったが、
警察の温情だろうか。釈放後、当番弁護士が一緒に役所にいって生活保護の申請をしてくれたという。
低額宿泊所で寝泊まりし、駐輪所のアルバイトをし、不足を生活保護費を受領していたという。
接見室で被告人に質問した。
どうしたら、万引きを止められますか。
無言の状態が続く。
私が誘導をして、被告人に相槌を打ってもらって仕方がない。
しばらくして、口が開いた。
「迷惑かけた」
「今後は迷惑をかいないようにする」
「職業について、まじめにやる」
「余裕ができたら、ボランティアをやる」
「親の死に目にあわなければ、話にならない」
「親が生きている間、できるだけのことをする」
小さいころに両親は離婚をして、母親のもとで4人の兄弟が生活をしたという。
現在、母親は80代である。
被告人を本当に更生させるために、母親を裁判所に情状証人にならないか,
考えている。
こうした事件の弁護は虚しいものだ。
本当にこれで更生するのだろうか。
接見でこんな議論をした。
「あなたは、小さいころ、悪いことをしたらバチが当たるといわれませんでしたか?」
「あります」
「他人が見ていようが、いまいが他人のものをとってはいけない、バチが当たると思って下さい」
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